講座研究テーマ

腸管出血性大腸菌におけるRNAによる病原性の発現制御

腸管出血性大腸菌(Enterohaemorrhagic Escherichia coli : EHEC)は国内で年間3000人以上の感染者を出し、そのうち約20-30%が重症例(血便・溶血性尿毒症症候群・脳症・死亡)を伴う感染症を引き起こす、臨床上重要な病原細菌です。EHECの多くは病原因子として志賀毒素やLEEと呼ばれる接着因子を保持しています。LEEの発現はEHECの病原性発揮に必須であり、転写レベルでの制御はよく研究されています。一方で翻訳レベルでの制御はまだ不明な点が多く残されています。我々は翻訳制御因子としてsmall RNA(sRNA)とsRNAと協働するRNA結合タンパク質Hfqによる翻訳制御に着目し、EHECの病原性発現に関わるsRNAの機能解析を行なっています。これまでに、LEEの発現を抑制するsRNA(Esr41)や、ファージ領域にコードされEHECの遊走性を抑制するsRNAを同定し、その機能を明らかにしてきました。EHECの病原性発現におけるsRNA制御の全体像を明らかにするため、今後は次世代シーケンサーを用いた網羅的な解析を行なっていく予定です。

HfqがEHECの病原性発現に与える影響

HfqがEHECの病原性発現に与える影響

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