研究・教育活動

研究スタッフ

研究分野の概要

薬用植物は生薬や医薬品をはじめ,麻薬原料からサプリメントまで幅広く利用されているが,その一方で資源の枯渇が心配されている。このような薬用植物のさらなる利用と安定的な供給を図るため,基原植物の化学成分による品質評価の他,植物形態学と遺伝子解析の面から再検討し,生理生態を明らかにすることで栽培化を促す研究を行っている。

主な研究テーマ

1)生薬の基原植物に関する研究

a)朮(ジュツ)類生薬の分子同定法の開発

朮類生薬の基原植物(オケラ,ホソバオケラなど)について,これまでに葉緑体DNAや核のITS領域を用いて雑種の存在が明らかになっている。しかし,雑種の鑑別には母性遺伝の葉緑体DNAだけでは不十分であり,ITS領域は構造の特殊性から,複雑な問題が生じることもある。本研究では各種オケラ属植物やこれらの交配試験により得た雑種植物を試験材料として,核の単一コピー遺伝子を用いる鑑別法と塩基配列情報と合わせ,オケラ属植物と雑種が鑑別できるマーカーを開発する。

b) クララの生態的2型の遺伝的差異の検出

苦参(クジン)の基原植物クララは,根茎から地下茎は横走する型と根茎から茎が直立して出る型の2型の存在を明らかにしている。この2型について分類上の変種にあたる狭義のクララとヒロハクララに対応するかどうかを,形態,遺伝子,成分の面から検討する。遺伝子解析では葉緑体DNAには差がない可能性があるため,より進化速度が速いと思われる核の単一コピー遺伝子を用いた分子マーカーの開発を試みる。

c)沢瀉(タクシャ)の基原植物サジオモダカとその類縁植物の比較

沢瀉の基原植物はサジオモダカ(Alisma plantago-aquatica var. orientale)と母種A.plantago-aquaticaについて,これまでに形態学上明確に区別することが困難であることを明らかにしている。本研究ではこれら2種の他類縁植物も含めて,遺伝子解析から基原植物の範囲につて再検討するとともに,化学成分の比較を行う。

2) 違法ドラッグの原植物と有害性及び鑑定に関する研究

医薬成分を含むが未規制のため乱用されている植物を,都や国では違法ドラッグと位置付け,いくつかの植物は規制の方向に向かっている。しかし,多くの違法ドラッグについてはその実態の解明が進んでいないことから,原植物と有害性及び鑑定のポイントを明らかにする。

3) 薬用植物の種苗登録における評価基準に関する研究

農作物の新品種について国は種苗登録の強化を図っている。薬用植物の新品種も同様で,出願品種が増加する傾向にあるため要請に応じて評価基準の研究を行う。

4) 薬用植物の普及に関する研究

学外研究機関との共同研究等

1) 違法ドラッグの原植物と有害性及び鑑定に関する研究(東京都健康安全研究センターとの共同研究)

2) 薬用植物の種苗登録における評価基準に関する研究(農林水産省生産局知的財産課との共同研究)

3) サテライト型モデル実験園の開設と薬用植物の普及事業(相模原市との共同研究)

教室員

  • 園長・教授小林 義典
  • 准教授福田 達男
  • 助教授石川 寛

主な研究業績

平成20年度研究業績

学術論文-学会誌

荒金眞佐子,中嶋順一,福田達男,吉澤政夫,鈴木幸子,北川重美,安田一郎 乱用薬物ハルマラの鑑定とPeganum harmala中のharmaline及びharmine含量 生薬学雑誌 62(2):35-42 2008.

学会発表-一般講演

石川 寛,福田達男,小林義典,伊藤智夫,鈴木幸子,北川重美
『日本産および中国産クララの地下茎に見られる生態的2型』
日本生薬学会第55回年会(長崎) 日本生薬学会 2008.9.19

日本生薬学会第55回年会講演要旨集 p.143 2008.9

石川 寛,福田達男,石井邦雄,北川重美 『クララの地下茎に見られる二型について』
日本植物分類学会第8回大会(仙台) 日本植物分類学会 2009.3.13

日本植物分類学会講演要旨集 p.93 2009.3

福田達男,石川 寛,小林義典,石井邦雄,鈴木幸子,北川重美
『タクシャの基原植物サジオモダカとその類縁植物の形態について』
日本薬学会第129年会(京都) 日本薬学会 2009.3.27

その他-公開講座

福田達男 『漢方薬と植物 第10回薬用植物シンポジウム-身近にある漢方薬-』
講演と薬用植物園の見学会
北里大学L3号館,薬用植物園(相模原) 2008.5.24

福田達男 『植物が作る薬の話』
高大連携 神奈川県立相模原高等学校「総合的な学習の時間」教養講座
北里大学相模原キャンパス 2008.8.21

福田達男 『漢方薬と民間薬,ケシとその仲間たち』
あじさい(高齢者)大学
あじさい会館講習室(相模原市) 主催:相模原市 2008.11.21,28

福田達男 『ケシ及び大麻の鑑別法について』
平成20年度薬事監視員研修 
神奈川県立保健福祉大学実践教育センター(横浜) 主催:神奈川県保険福祉部薬務課 2009.3.30

平成21年度研究業績

学術論文-紀要

福田達男 『中国の標本庫に所蔵されるオケラAtractylodes属植物のさく葉標本と国内で自生または栽培されているオケラ属植物から得られた新たな知見について』
北里大学薬学部附属薬用植物園紀要8号:4-26 2010.2

学会発表-一般講演

福田達男,石川 寛,小林義典,石井邦雄,北川重美 『オケラ属植物の花生態と交雑試験について』
日本生薬学会第56回年会(京都) 2009.10.4

日本生薬学会第56回年会講演要旨集 p.245 2009.10

石川 寛,福田達男,小林義典,石井邦雄,北川重美 『核遺伝子から見たクララの種内変異』
日本薬学会第130年会(岡山) 日本薬学会 2010.3.29

その他-公開講座

石川 寛 『生薬マオウとその基原植物について』
第11回薬用植物シンポジウム-植物から創られた薬-
講演と薬用植物園の見学会
北里大学L3号館,薬用植物園(相模原) 2009.5.30

福田達男 『植物が作る薬の話』
高大連携 神奈川県立相模原高等学校「総合的な学習の時間」教養講座
北里大学相模原キャンパス 2008.8.24

福田達男 『漢方薬と民間薬,ケシとその仲間たち』
あじさい(高齢者)大学
あじさい会館講習室(相模原市) 主催:相模原市 2009.11.20,27

福田達男 漢方薬と民間薬
明治薬科大学市民大学講座 明治薬科大学清瀬キャンパス
主催:明治薬科大学地域貢献委員会 2009.11315

平成22年度研究業績

熊谷健夫,柴田敏郎2,澤井清道2,福田達男3,酒井英二,磯田進5,妹帯正樹6,川原信夫1(1医薬基盤研・薬植セ・筑波,2医薬基盤研・薬植セ・北海道,3北里大薬,4岐阜薬大,5昭和大薬,6道立衛研) シシウドの栽培に関する研究-採種地の異なる野生系統の生育,収量および成分含量:日本生薬学会第57回年会(徳島)2010年9月25日.

福田達男,石川 寛,荒金眞佐子2(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
中国のさく葉標本から得られたオケラAtractylodes属植物の新たな知見:日本生薬学会第57回年会(徳島)2010年9月25日.

池田由里子,山本明佳里,上田純也,田村雅史,白瀧義明,張昌浩2,福田達男3(1城西大学薬学部,2延辺大学薬学院,3北里大学薬学部)
クララに含まれるフラボノイド成分のHPLCプロファイル比較:日本生薬学会第57回年会(徳島)2010年9月25日.

高田優美子,石川 寛,福田達男,荒金眞佐子2(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
オケラのITS領域に見られる種内変異:日本生薬学会第57回年会(徳島)2010年9月26日.

福田達男,石川 寛,荒金眞佐子2(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
麦門冬の基原植物ジャノヒゲ(広義)の根茎の形態について:日本薬学会第131回年会(静岡)2011年3月31日.

高田優美子,石川 寛,荒金眞佐子2,福田達男(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
オケラの個体内に見られる複数のITS塩基配列:日本薬学会第131回年会(静岡)2011年3月31日.

米田浩美1,本橋慶一2,小林享夫1,福田達男3,夏秋啓子1(1東京農業大学国際食糧情報学部,2東京農業大学地域環境学部,3北里大学薬学部)
鎌形分生胞子を持つColletotrichum属菌によるイチハツ炭疽病(新称):平成23年度日本植物病理学会大会(東京)2011年3月27日.

平成23年度研究業績

学会発表-一般講演

石川 寛,工藤輝久,高田優美子,星野あずさ,福田達男,荒金眞佐子2(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
ITS領域による朮類生薬基原植物の系統解析:日本生薬学会第58回年会(東京)2011年9月24日.
福田達男,石川 寛,荒金眞佐子2(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
麦門冬の基原植物ジャノヒゲ(広義)の3タイプの根茎と生育型について:日本生薬学会第58回年会(東京)2011年9月25日.

福田達男,石川 寛,荒金眞佐子2,高野昭人3(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター,3昭和薬科大学) 天南星の基原植物の形態と生育特性について:日本薬学会第132回年会(札幌)2012年3月30日.

石川 寛,尾本香織,荒金眞佐子2,福田達男,(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
オケラ属雑種植物のITS領域の塩基配列:日本薬学会第132回年会(札幌)2012年3月30日.

平成24年度・25年度研究業績

1. 論文発表

Ryuichi Suzuki, Yuriko Ikeda, Akari Yamamoto, Toyoe Saima, Tatsuya Fujita, Tatsuo Fukuda, Eriko Fukuda,Masashi Baba, Yoshihito Okada, Yoshiaki Shirataki. Classification using NMR-based Metabolomics of Sophora flavescens Grown in Japan and China. Natural Product Communication 7(11)1453-1455(2012).
Ryuichi Suzuki, Yuka Hasuike, Moeka Hirabayashi, Tatsuo Fukuda, Yoshihito Okada, Yoshiaki Shirataki. Identification of a Xanthine Oxidase-inhibitory Component from Spphora flavescens using NMR-based Metabolomics. Natural Product Communication 8(10)1409-1412(2013).

福田達男,秋山好則.栃木県塩屋町のザゼンソウ群落と生育環境について.栃木県立博物館研究紀要-自然-(30)1-8(2013.3)

2. 学会発表の演題

福田達男1,大河内優1,石川 寛1,荒金眞佐子2(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
苦参の基原植物クララの根茎に見られる3型について:日本生薬学会第59回年会(千葉) 1P-38 2012年9月17日

石川 寛1,小澤俊貴1,福田達男1,荒金眞佐子2(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
オケラ属雑種植物のITS領域塩基配列(第2報):日本生薬学会第59回年会(千葉) 2P-87 2012年9月18日

石川 寛1,大橋晴奈1,荒金眞佐子2,福田達男1(1北里大学薬学部,2東京都健康安全研究センター)
オケラ属植物の葉緑体DNA非コード領域の塩基配列の解析:日本薬学会第133年会(横浜) 29pmA-354 2013年3月29日

福田達男,清水聖子,石川 寛(北里大学薬学部)
チョウセンゴミシの開花と果実形成について:日本薬学会第133年会(横浜) 29pmA-412 2013年3月29日

福田達男,清水聖子,長野祐哉,石川 寛(北里大学薬学部)
根茎の形態が異なるジャノヒゲ(広義)に見られる根の膨大部の形態について:日本生薬学会第60回年会(北海道) 2P-40 2013年9月8日

鈴木龍一郎1,蓮池由夏1,平林萌花1,福田達男2,岡田嘉仁3,白瀧義明1(1城西大学薬学部2北里大学薬学部,3明治薬科大学)
1H-NMRメタボロミクスによる苦参のxanthine oxidase阻害活性成分の探索:日本生薬学会第60回年会(北海道) 2P-05 2013年9月8日

高野昭人1,佐々木慎哉1,甲斐智洋1,中野深央1,福田達男2,篠崎淳一1,中根孝久1,増田和夫1(1昭和薬科大学,2北里大学薬学部)
国上山に自生するキクバオウレンの調査(1)-生育環境と形態-:日本生薬学会第60回年会(北海道) 2P-79 2013年9月8日

鈴木龍一郎1,白瀧義明1,岡田嘉仁2,福田達男3,(1城西大学薬学部,2明治薬科大学,3北里大学薬学部)
1H-NMRメタボロミクスによるクララの産地比較:第42回生薬分析シンポジウム 2013年11月29日

福田達男1,石川 寛1,河野徳昭2,熊谷健夫2,渡辺信3(1北里大学薬学部,2医薬基盤研究所薬用植物資源研究センター筑波研究部,3琉球大学熱帯生物圏研究センター西表研究施設)
サジオモダカの栽培に関する研究(第2報)播種と育苗について:日本薬学会第134年会(熊本) 29pmS-005 2014年3月29日

石川 寛,榎本かほり,福田達男(北里大学薬学部)
天南生基原植物の葉緑体DNA非コード領域の解析:日本薬学会第134年会(熊本) 29pmS-017 2014年3月29日