研究・教育活動

教育活動

本薬用植物園は薬学部の付随施設ですが、北里大学全学部の教職員、学生は勿論のこと広く地域社会の人々が憩いの場として利用できる「開かれた薬用植物園」を目指しています。神奈川県内には植物関連施設が少なく、本園は博物館類似施設に指定されているため、見学を希望する一般市民、病院外来患者、植物愛好者の団体など年々増加しています。いずれも学生の教育に支障のない範囲で、自由にご見学いただいています。

学生への教育面では、薬学部1年生が履修する薬用植物学や生物学実習の指導に当る一方、配属学生への卒業研究指導を行っています。また、医学部の東洋医学実習や医療衛生学部の健康食品学実習、理学部の天然物化学など他学部の講義や実習にも参画しています。さらに、東洋医学研究会や生薬研究会、生物部などの学生のクラブ活動に対しても積極的な支援に努めています。

これらとは別に、本薬用植物園が薬学部1年生のクラス担当をも務めており、これから薬学への道に進んでいく学生の大事な初年度のサポートを担っています。全学の教職員、学生の来訪には適宜応ずるほか、キャンパス内の大学病院入院患者のリハビリテーションの場としても利用されています。

薬用植物学

薬学部1年生の授業:薬用植物学について

2019年度シラバス

1999度より、首都圏西部大学単位互換協定に基づく単位互換の授業が始まりました。本薬用植物園の担当している薬用植物学もそれに該当しています。
首都圏西部大学単位互換協定に関するお問い合わせは下記までお願いします。

お問い合わせ先

首都圏西部大学単位互換協定会事務局 北里大学学事部
〒228-8555 神奈川県相模原市北里1-15-1 TEL : 042-778-9750 FAX : 042-778-9761

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クラス担任

薬学部附属薬用植物園 准教授 古平 栄一

「漢方薬・生薬認定薬剤師」講座

「漢方薬・生薬認定薬剤師」講座の研修について

日本生薬学会と日本薬剤師研修センターの協力の元に平成12年4月より開始された「漢方薬・生薬認定薬剤師」制度の実地研修施設に指定され、毎年春と秋に午前と午後の2回実施しています。毎回、約20名の方に研修を受けていただいています。いわゆる薬剤師の生涯教育で、既に薬剤師の国家資格を得て活躍されている薬剤師の方々に漢方薬や生薬のスペシャリストになっていただこうという制度です。当園での研修会には、主に関東地方にご在住の方々が参加されますが、中には甲信越、東海地方や西日本やから参加される方、本学出身の方もいらっしゃいます。全国の研修施設の中でも1、2を争う多数の研修希望者を受入れています。


参考:「薬用植物学」2019年度シラバス

科目名 薬用植物学 (Medicinal Botany)
学科・学年、履修期等 薬学科および生命創薬科学科 1年前期(必修) 1単位
開講日等 A、B、C、D、Sクラス対象 毎週金曜日4時限 L2-409教室
科目責任者 小林義典(生薬学・教授)
担当者 小林義典(生薬学・教授)
古平栄一(薬用植物園・准教授)
石川 寛(薬用植物園・助教)
備考 漢方医薬学履修プログラム対応科目
実務経験のある教員による授業科目
授業の目的 医薬品の原料となる植物、漢方薬に使用される生薬の基原植物、医薬品開発のリード化合物となった植物成分を含有する植物等について、基本的性質を理解するために、それらの分類、形態、含有成分、生理活性、歴史的背景などについての基本知識及び医薬学分野における役割について修得する。
講義内容
No. 講義項目 担当者 開講日 到達目標・内容 SBO
1 薬用植物とは何か(1) 古平 栄一 4月12日 植物の分類体系や種の学名及びその命名法について概説できる。 A(1)-4-1
A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
2 生薬の性状と植物の器官,組織 (1) 石川 寛 4月19日 代表的な漢方薬について概説できる。全形生薬の性状について、植物の器官、組織の観点から例示して概説できる。 A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-1-3
C5(1)-2-1
3 薬用植物とは何か(2) 古平 栄一 4月26日 ケシ・アサ及び麻薬・向精神薬・指定薬物等原料植物において、それらの規制法や種の鑑別法について概説できる。 A(1)-4-2
B(2)-3-1
B(2)-3-2
C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-1-4
4 植物からの医薬品開発 小林 義典 5月10日 植物から単離された医薬品を列挙し、代表的なものについて概説できる。(アヘンアルカロイド、カフェイン) A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-1-4
C5(2)-4-1
C5(2)-4-2
5 薬物と食物と毒物 小林 義典 5月17日 薬物と食物と毒物の違いについて、例示して概説できる。(アリシン、コカイン、バッカクアルカロイド) A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(2)-4-1
C5(2)-4-2
D1(3)-3-2
6 瀉下作用を有する植物成分 小林 義典 5月24日 瀉下作用を有する植物とその成分について概説できる。(エモジン、レイン、センノシド、ヒマシ油、樹脂配糖体) A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(1)-1-4
C5(2)-4-1
C5(2)-4-2
7 自律神経に作用する植物成分 小林 義典 5月31日 自律神経系に作用する植物成分について概説できる。(エフェドリン、レセルピン、ヨヒンビン、ニコチン、ムスカリン、アトロピン、ピロカルピン、フィゾスチグミン) A(1)-4-2
B(2)-3-2
C5(1)-1-1
C5(2)-4-1
C5(2)-4-2
D1(3)-3-2
8 伝統薬と医薬品 小林 義典 6月7日 伝統薬から開発された医薬品を例示して概説できる。(キニーネ、ストリキニーネ、カプサイシン、ジギトキシン) A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(2)-4-1
C5(2)-4-2
D1(3)-3-2
9 矢毒と薬 小林 義典 6月14日 矢毒から開発された医薬品を例示して概説できる。(ストロフ ァンチン、ツボクラリン、アコニチン) A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(2)-4-1
C5(2)-4-2
D1(3)-3-2
10 植物成分由来の合成新薬 小林 義典 6月21日 植物成分をリード化合物として開発された代表的な合成新薬について概説できる。(アスピリン、ワルファリン、トラニラス ト、クロモグリク酸ナトリウム、タキソール、エトポシド、イリノテカン、ビンカアルカロイド) A(1)-4-2
B(2)-3-2
C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-1-4
C5(2)-4-1
C5(2)-4-2
D1(3)-3-2
11 生薬の同定と品質評価(1) 古平 栄一 6月28日 繁用生薬及び主に虚弱体質の改善が期待される生薬、主に呼吸器機能の改善が期待される生薬の基原植物において、それらの同定と品質評価について概説できる。 C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-2-1
C5(1)-3-1
C5(1)-3-2
C5(1)-4-1
12 生薬の同定と品質評価(2) 古平 栄一 7月5日 主に婦人科疾患の改善が期待される生薬、主に代謝機能の改善が期待される生薬の基原植物において、それらの同定と品質評価について概説できる。 C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-2-1
C5(1)-3-1
C5(1)-3-2
C5(1)-4-1
13 生薬の同定と品質評価(3) 古平 栄一 7月12日 主に消化器機能の改善が期待される生薬の基原植物において、それらの同定と品質評価について概説できる。 C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-2-1
C5(1)-3-1
C5(1)-3-2
C5(1)-4-1
14 生薬の性状と植物の器官,組織 (2) 石川 寛 7月19日 粉末生薬の性状について、植物の器官、組織の観点から例示して概説できる。 C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
C5(1)-1-3
C5(1)-2-1
15 薬用植物園観察実習 石川 寛 薬用植物園でのフィールドワー クを行い、生薬の基原植物について概説できる。(少人数制で、放課後に実施する。日程は別途、講義中に連絡する。) A(1)-4-2
C5(1)-1-1
C5(1)-1-2
D1(3)-3-2
評価方法
定期試験 講義範囲から出題する。マークシート方式。持ち込み禁止。
授業 講義回数14回+薬用植物園観察実習1回+ケシ観察会1回+定期試験。
その他 期末試験(90%)及びレポート(薬用植物園観察実習並びに東京都薬用植物園ケシ観察会、10%)にて評価する。
学生へのメッセージ
まずは、薬用植物の利用の歴史を通じて、人類の病との闘いの歴史を理解しましょう。
準備学習(予習・復習)・その他
1 小林担当部分の講義で学習する薬用植物については、「化合物名、構造式、活性、用途、基原植物(和名、学名、科名)、薬用部位」を必ず、全て覚えておくこと。なお、これらはいずれも2年次以降、生薬学関連以外の専門科目(基礎系・実務系)でも頻出の重要な医薬品に関するものである。
2 生薬の同定や良否の判断は、医薬品としての品質管理に必須の知識・技能であり、2年次後期の生薬学実習では、実際に鑑別や確認試験を行うが、ここではその基礎を学習する。
3 教科書中の「講義で学習した植物」に関する箇所を熟読し、また、学習した植物は実物を植物園で確認しておくこと。「講義で学習した植物」が教科書に記載されていない場合もあるが、図書館等を活用し、「生薬学」や「和漢薬」、「薬用植物」、「天然資源学」、「日本薬局方」などに関する書籍で、学習すること。
4 座学とは別に、薬用植物園観察実習、東京都薬用植物園ケシ観察会を実施している。特に、薬用植物園観察実習は、少人数10数名のグループに分け、課目開講時間以外に放課後を利用して、薬用植物園での観察を行い、レポートを作成している。各自必ず1 回参加し、レポートを作成すること。なお、班分け、集合時間等については随時連絡するので指示に従うこと。なお、薬用植物園観察実習および東京都薬用植物園ケシ観察会の日程は、講義中に別途連絡する。
教材
種別 書名 著者、編者 発行所
教科書 パートナー生薬学 竹谷孝一・木内文之・小松かつ子編(著、小林義典 他) 南江堂
参考書 第17改正日本薬局方 厚生労働省 こちらからダウンロード
参考書 天然医薬資源学 小林義典 他 廣川書店
参考書 超図解 薬はなぜ効くか 田中正敏 講談社