主な研究テーマ
金属は、生体にとって有害な作用を示すが、転写因子や様々な酵素の活性中心を構成
するなど、生体にとって必須でもある。当研究室は、有害金属の毒性発現機構や、必
須金属の生理作用を分子レベルで解明するとともに、金属結合蛋白質、特にメタロチ
オネインの多様な生理機能を明らかにすることをめざしている。さらに、これらの知
見を制癌剤の副作用軽減法などの臨床の場に応用する手法を開発する。
- 重金属の毒性発現機構に関する研究
Hg, Cdなどの重金属の毒性発現機構および、その輸送機構を分子レベルで解明する
。また、これらの金属が示す内分泌撹乱作用のin vitro、in vivoでの検出法を開発
し、その機構の解析を行う。
- メタロチオネインの生理機能の解明
金属結合蛋白質であるメタロチオネインを多機能蛋白質としてとらえ、金属毒性の
軽減のみならず、活性酸素の消去、化学発癌、免疫応答に及ぼす影響を明らかにする
。また、細胞質内および核内において、NF-kBのようなレドックス制御を受ける転写
因子や金属応答性転写因子MTF-1の活性におよぼす影響について解析する。
- 必須微量元素セレンの生理機能に関する研究
セレンを活性中心に含む蛋白質はグルタチオンペルオキシダーゼをはじめとして、
酸化ストレスに対する防御因子となるものが多い。そこで、動物レベル(モルモット
を利用)、細胞レベル(血管内皮細胞を利用)で、様々なセレン蛋白質の発現レベル
を明らかにし、それらセレン蛋白質の酸化ストレス防御機構における機能について解
明する。
- 制癌剤副作用軽減法の開発とその機構の解明
有機セレン化合物を利用したシスプラチンなどの制癌剤の副作用軽減法を開発する
とともに、その機構を解明する。
- 低酸素応答性転写因子の活性調節機構の解析
低酸素に応答する転写因子(HIF1、EPAS1)の活性調節機構を明らかにし、これら
の転写因子の活性調節の異常が、癌や循環器疾患の発症・進展とどのように関連する
かについて分子生物学的手法を用い解析する。
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